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一般住宅での住まい方として、出来れば段差の無い形状とした「平屋」の生活が望ましいと思います。しかし、限られた敷地面積や家族構成、二世帯などの様々な制限のなかで、上層に分けて住居を構成しなければならないのが実状です。一方、上層階からの景観を考慮したり、プライバシーを確保する為にあえて2階建てにして、寝室などを上層階に配置することもあります。そこで必要になるのが階段。上がりやすい傾斜角度、有効巾(階段の幅)、手すりの形状や材料を検討しなければなりません。
平面計画を進めて行く際に、部屋のスペースを優先したことで、廊下や階段の面積にしわ寄せがくる場合もあります。体に負担が掛かる上下運動を要する階段は、日に何度も使います。そして将来老化していく体にも影響が出るかも知れません。プラン作成の時点でしっかり検討しておきたいものです。

階段の形状(昇り降りのしかた)は色々あります。代表的な形状を紹介します。

1、直通階段

  • 一番多く採用されている
  • らせん階段の次に、面積が少なくできる
  • 人が落下した場合は危険

2、踊り場付直通階段

  • 階段の中央部に踊り場を設けたもの
  • 踊り場面積が余分に必要

3、L型直通階段

  • 進行方向が途中で90度変わる
  • 直通階段より面積を必要とする

4、踊り場付L型直通階段

  • 進行方向を変える部分に踊り場をもうけたもの
  • 踊り場面積が余分に必要
  • 人が落下した場合は途中に踊り場がある為、直通階段より安全である

5、中折れ階段

  • 進行方向がUターンする形になる
  • L型階段より面積が増える

6、踊り場付中折れ階段

  • Uターン部に踊り場を設けたもの
  • 踊り場面積が余分に必要、面積が一番多く必要
  • 落下した場合は確実に踊り場で止まる

7、らせん階段

  • 面積が一番小さい
  • 回転して上下する為、物の持ち運びには不便

1、直通階段

 


6、踊り場付中折れ階段
 

私としては、面積が多く必要になりますが、人が落下した場合に途中で止まることと、一息付けるスペースが確保出来るという理由で、「踊り場付中折れ階段」を採用されることをお勧めしたいと思います。また、急傾斜の階段はスペースが小さくて済む反面、昇り降りに苦労します。スペースを広く取れば昇り降りが楽になります。しかし、ゆるやか過ぎると逆に疲れることにもなるので、設計者と良く相談して欲しいと思います。
ちなみに今までに出来上がった住宅の階段の中で、一番昇り降りし易かった傾斜の寸法は、個人差があると思いますが、踏面(フミズラ)寸法270mm・蹴上(ケアゲ)寸法170〜180mmでした。

階段各部の寸法は、建築基準法、住宅金融公庫基準、他の基準により規定がありますが、ここでは、建築基準法、住宅金融公庫基準の主要なものを明記します。

  建築基準法 住宅金融公庫
・勾配 規定なし R/T≦22/21
・踏面寸法 15cm以上 19.5cm以上
・蹴上寸法 23cm以下 55cm≦T+2R≦65cm
・階段の巾 75cm以上(手摺を除く) 規定なし
・階段手摺の高さ 規定なし 75cm(標準)
・手摺の必要の有無 片側必要 片側必要
※R=蹴上寸法、T=踏面寸法
※踏面寸法=踏み面の奥行き寸法から段鼻の寸法を除いた寸法
※蹴上寸法=階段の一段の高さ寸法
※その他の基準には年金バリアフリー住宅、住宅性能表示制度などがあります

 

階段などの段差に負担を感じる方や車椅子を利用されている方、2階や3階の上層階のアクセス手段に、段差以外にステップリフトやホームエレベーターがあります。また、新築に限らずリニューアルにも対応出来ます。

・ステップリフト(階段昇降機)

直通階段やらせん階段、また屋外階段にも設置が可能です。
停電時にも走行可能、使用しない時に折りたためるなど、車椅子対応タイプもあるようです。

中央エレベーター工業:まっすぐ階段用S型

2、ホームエレベーター

通常のエレベーターと違い、最下階から最上階の高さが10mまで、定員3名以下、積載加重200kg・カゴ床面積1.1u以下の基準が定められています。上階に風呂やリビングがあったり、掃除具や洗濯物の持ち運びなどにも便利に利用出来ます。ホームエレベーターの出始めは約500万円程度必要でしたが、リフォーム用などは200万円台になっています。

1、松下電工 WIDE(3人乗り)
2、松下電工 SLIM MORE(2人乗り)
3、松下電工 FIT(2人乗り)

●3人乗りの場合・・・標準タイプの車椅子の利用が可能
●2人乗りの場合・・・小型タイプの車椅子と介護用タイプの利用が可能

既存の押入や吹き抜けなどを利用するリフォームでの設置や、建物の外部に増設することも可能です。プランの時に1階と2階の同じ位置に物入などのスペースを造っておくことで、将来的にホームエレベーターの設置に備えるご家族もあります。2階建て以上の平面計画の際には、階段の配置と形状をしっかり検討し、将来に備えてホームエレベーターも視野に入れて考えられてはいかがでしょうか。

●次回は「耐震、制震、免震について」を掲載する予定です。